『他者論』とは?【未知があるから真理は存在できる?】

哲学

こんにちは! 物書きの忍者です!

今回は、哲学者レヴィナスの『他者論』について紹介します。

みなさんは、『他者論』というと言葉を聞いた事はありますか?

一応、言葉通り『他者』に関する哲学ではあるんですけど、たぶんイメージしている内容とは違うものだと思います。

ここでは、そんな哲学者レヴィナスの唱えた『他者論』とは何かを簡単に紹介していきます。

『他者論』とは?

先にざっくりとした説明をしますと、『他者論』とは『自分には理解の及ばない何かが必ず存在する』ことを提唱した哲学です。

そもそもタイトルにもある『他者』というのは、どういう意味なんでしょうか?

勝手なイメージとして「自分とは違う他人」の事を表しているように感じるかもしれません。しかし、そうだとすると「他人の事を論ずるってどういう意味だ?」と正直メチャクチャ範囲が広くなって、訳が分からなくなります(汗)

ここで少し復習をさせてほしいんですけど、前回『イリヤ』という用語について紹介しました。哲学者レヴィナスの『イリヤ』とは、簡単に言ってしまうと『存在する(そこにある)』を表した言葉で、自分が死んでも無関係に存在し続ける世界に対する恐怖から生まれました。

ようするに自身とは無関係に存在する世界のように『自分には理解の及ばない何かが存在する』ことを表していて、『他者』というのは『自分には理解の及ばない何か』の事を指しているのです。

もう少しわかりやすい言い方をすると、例えばの話、誰かが「これこそが人類の探し求めていた真理だ!」と声高に宣言したとしましょう。

そこに一人の哲学者がやってきて「いや、その真理は間違っている!」と言ったとします。さらに、また別の哲学者がやってきて「いやいや、「その真理は間違っている!」という考えこそ間違いだ!」と被さる様にして意見を言ってきました。

余計にわかりにくかったかもしれないんですけど、何が言いたいのかというと仮に「これこそが人類の探し求めていた真理だ!」なんて言える程に絶対に正しい考えだったとしても、そこには、その考えを否定する人物が必ず存在するのです。

つまり、どんなに正しい考えであっても必ず否定してくる何かを表した言葉が、哲学で言うところの『他者』にあたるわけです。そして、その『自分には理解の及ばない何か』に関する哲学が『他者論』なのだと思っておきましょう。

未知があるから真理は存在できる?

ここまで哲学で言う『他者』についてざっくりとした説明をしました。ここで多くの方は「それで、結局のところ『他者論』って何が言いたいんだ?」という疑問を感じたかもしれません。

『他者論』とは『自分には理解の及ばない何かが必ず存在する』ことを表した哲学で、もっとわかりやすい言い方をするなら「誰もが納得する正しい答えなんて存在しないんじゃないの?」というちょっとネガティブなことを提唱しています。

どういうことかと言いますと、先程の例え話を思い出してほしいんですけど、仮に「これこそが人類の探し求めていた真理だ!」なんて言える程に絶対に正しい考えだったとしても、そこには、その考えを否定する何かが必ず存在すると説明しました。

ようするに、『真理』とでも言えるどんなに正しい答えだったとしても、それを否定する『他者』が必ず存在するというのが『他者論』なんです。

「じゃあ、真理を求める事って意味ないの?」と思われたかもしれません。しかし、意外かもしれないんですけど『他者論』というのは、むしろ、私達がそういった『真理』を求めるという工程を無意味にしないために存在しているのです。

少しだけ考えてみてほしいんですけど、そもそもすべての問題に対して『真理』という絶対的に正しい答えが出ている状態を想像してみてください。過去の偉人たちが答えをすでに出してくれていたとして、私達がやることってありますか?

仮に「これが真理だ!」と言える答えが出たとすれば、それ以降を探求する必要が無くなってしまいます。つまり『自分には理解の及ばない何かが必ず存在する』という考え方は、裏を返せば永遠ともいえる間、私達が探求する余地を与えてくれているのです。

『他者論』というのは「誰もが納得する正しい答えなんて存在しないんじゃないの?」と少しネガティブな哲学のように見えて、実は私達が『真理』を求め続ける意味を与えてくれる考え方なのだと思っておきましょう。

さいご

今回は、哲学者レヴィナスの『他者論』について紹介しました。

まとめると、

  • 『他者論』とは『自分には理解の及ばない何かが必ず存在する』ことを提唱した哲学
  • どんなに正しい考えであっても必ず否定してくる何かを表した『他者』に関する哲学のこと

最後までお読み頂きありがとうございました。

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