こんいちは! 物書きの忍者です!
今回は、ロシアの作家ドストエフスキーさんの作品『罪と罰』を紹介します。
みなさんは魔が差した経験はありませんか?
- お菓子をつまみ食いしてしまった
- 赤信号なのに歩道を渡ってしまう
- ごみをポイ捨てしてしまった
誰しもが後で考えると悪いことだと分かるのに、ついやってしまったという経験を持っていると思います。
『罪と罰』では、『人殺し』という犯罪の中でもかなり重いテーマを中心として、傲慢で自己中な主人公が罪の重さと刑罰を前にしてどう行動したのか描いています。
この作品は1866年にロシアで登場したとても有名な作品なので、読んだことはなくてもタイトルを知っている人は多い筈です。
ただ、内容が複雑であり、読むのを途中でやめてしまった人も少なくないと思います。
そこで、今回はそんな人に向けて『罪と罰』とはどんな作品なのかを簡単に紹介したいと思います。
話の要点は主に三つです。
- 頭脳明晰な元大学生が主人公
- 物語は犯罪を犯した主人公の葛藤がテーマ
- 予審判事など脇を固める魅力的な登場人物
一つずつ説明しまう。
頭脳明晰な元大学生が主人公
物語は、貧しさから学費を払えず大学を中退してしまった頭のいい青年『ラスコーリニコフ』が、悪徳金貸しの老婆の殺害を計画するところから始まる。
まず『罪と罰』はどのような話なのでしょうか?
この作品は、貧しさから学費を滞納してしまい大学を除籍されてしまった青年『ラスコーリニコフ』が、「社会に必要のない人間は殺されて当然」という考えに取り付かれ、悪徳高利貸しの老婆を殺害し、その金を世のため人のために使おうと計画するところから始まります。
ある時、住んでいる屋根裏部屋の中で、殺人という恐ろしい考えをしてしまった事に悶々とする彼に母親からの手紙が届きます。その手紙には妹『ドゥーニャ』が成金の弁護士に求婚され、それを受けようとしていることが書かれていました。
その手紙を読んだラスコーリニコフは妹は貧しい家のために結婚をしようとしていることに気付きます。
そんな事実に怒りを覚える彼の耳に、高利貸しの老婆の妹『リザヴェータ』が明日の7時に家を空けるという話が聞こえてきます。そのことから、その時間は老婆は一人になると考えるラスコーリニコフ。
遂に計画を実行に移すことにした彼は、予定の時間に高利貸しの老婆の元を訪れて、用意していた斧を振り下ろし老婆を殺害してしまいます。
計画通りに老婆の家のから金品を盗もうとするラスコーリニコフですが、その時、老婆の妹リザヴェータが戻ってきました。
慌てたラスコーリニコフは、目撃者を残してはいけないと考え、思わず老婆の妹まで手に掛けてしまいます。
タイトルからも暗い印象を受けますが、序盤から主人公が自分の都合で人を殺したところから始まるという内容はそれ以上に恐ろしく感じると思います。
成績が悪くて落第したわけでなく学費が払えなかったために中退していますし、1860年代のロシアという時代で大学生だったわけですから、主人公はかなり頭が良いです。
にも関わらず『老婆の殺害』という酷く感情的な面で行動してしまった彼がこれからどう行動するのかがこの作品の見どころと言えます。
物語は犯罪を犯した主人公の葛藤がテーマ
この作品は、天才は罪を犯してでも人類に貢献すべきだという偏った考えを持ちながらも、老婆とその妹を殺害し、裁かれることへの恐怖から変心していく主人公を描いている。
そもそも、タイトルにある『罪と罰』とはどういった意味があるのでしょうか?
これは、殺人を犯してしまった主人公であるラスコーリニコフが苛まれる意識を表しています。
『罪』とは「俺はなんてことをしてしまったんだ!」と考えるように、他者に対して悪いことをしてしまったという内面からくる思い、罪悪感を表現しています。
『罰』いうのは、警察に捕まると牢屋に入れられるように、実際に存在する外的な要因、刑罰を表しています。
「俺はこの世界にとって必要な存在なんだ!」と思っているラスコーリニコフにとって、高利貸しの老婆を殺したことは間違いではありませんでした。
納得のいかない方は多いと思います。しかし、彼にとっては、老婆を殺して得たお金で自分が人類に貢献すれば何の問題もないと考えていたのです。
自分の行いは正しいと思っているからこそ罪の意識を持たないラスコーリニコフを苦しめるのが、捕まれば罰を与えられるという恐怖でした。
二人の人間を殺しておきながら傲慢で自分勝手な考え方から罪の意識を全く持たない彼が、捕まれば罰が下るという意識や周囲との関係から、その心をどう変化させていくのかを描いているのがこの作品です。
予審判事など脇を固める魅力的な登場人物
作品の魅力の一つは、予審判事『ポルフィーリー』や娼婦『ソーニャ』、妹に言い寄る男『スヴィドリガイロフ』など癖のある人物が登場するところにある。
この作品の魅力の一つは、その登場人物たちです。
まず印象に残る人物は、罪を犯した主人公を追い詰める予審判事『ポルフィーリー』です。
あのミステリー作品『刑事コロンボ』のモデルにもなったという優秀なポルフィーリーと主人公が何度も行う対話のシーンは、この作品の見どころの一つです。
ポルフィーリーのする、犯罪を犯した頭のいい人間はまるで蝋燭の火に群がる蛾のように、放っておくと不安になって自分からボロを出すという話はとても印象に残ります。
そして娼婦『ソーニャ』との関係が、罪の意識を持たない主人公にとって、本当の意味で自分の罪と向き合い救われるためのきっかけになります。
飢饉に苦しむ家族のために娼婦をしていたソーニャは、馬車で父親を亡くし悲しんでいるところに主人公が葬儀代としてなけなしのお金を渡したことから知り合うことになります。
家族のために娼婦をしているソーニャの姿が、自分達のために成金の弁護士と結婚しようとしている妹と重なってしまったこともあり、この作品の中で主人公が直接自分の罪を告白した人物になります。
信心深かったソーニャと接していくことで、主人公にどの様な変化が起きるのかを見るのも見どころの一つです。
そしてこの作品の中で異彩を放つのが、主人公の妹ドゥーニャが家庭教師をしていた家の主人であり、彼女に言い寄る男『スヴィドリガイロフ』の存在である。
妻を殺害したという疑いが囁かれるような人物であり、鬱屈とした悪役のような印象を受ける人物ですが、ドゥーニャのことを本当に愛しているようにも感じます。
何より、まるで主人公の未来の姿のように、どこか似た印象を持つからこそ、スヴィドリガイロフの行動がこの作品の見どころにもなっています。
このように癖のある登場人物たちが、葛藤する主人公といかにして関わっていくのかがこの作品の大きな魅力であると言えます。
さいご
今回は、ロシアの作家ドストエフスキーさんの作品『罪と罰』を紹介しました。
要点をまとめると、
- 頭脳明晰な元大学生が主人公
- 物語は犯罪を犯した主人公の葛藤がテーマ
- 予審判事など脇を固める魅力的な登場人物
これから『罪と罰』を読もうと考えている方の参考になると嬉しいです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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