神様の引きこもりで、地上から太陽が消えた!【古事記⑤】

神社

こんにちは! 物書きの忍者です!

今回は、前回の続きである『天岩戸あまのいわと』にアマテラスが隠れた後の話を紹介していきます。

ところで、この『天岩戸あまのいわと』での話を聞いたことはありませんか?

「あれ? なんか聞いたことあるな?」と感じる方は意外と多い筈です。『古事記』を読んだことのない方でも絵本などで見聞きしたことがある程、この話は古事記で描かれている『八岐大蛇やまたのおろち』や『因幡いなば白兎しろうさぎ』と並ぶ有名な話です。

ここでは、アマテラスが天岩戸に隠れてしまった後に何が起きたのか、その経緯について紹介していきます。

神様の引きこもりで、地上から太陽が消えた!

先に結論から言うと、アマテラスの統べていた高天原。そして『葦原中国あしはらのなかつくに』から日の光が消えて真っ暗になってしまいました。

「『葦原中国あしはらのなかつくに』ってなんだよ?」と疑問に思った方に簡単に説明すると、高天原黄泉の国の間にある国、ようするに私達の生きている地上の事を指している言葉です。

少し話が逸れましたけど、アマテラスという太陽のような存在が洞窟に引きこもってしまったために地上から太陽が消えてしまったわけです。・・・まあ、さらっと書いてますけど、これはどえらい事です!

だって急に世界が真っ暗闇になるわけですから、それに乗じて禍も発生して神々もパニックになります。そこで、神々は太陽の光を取り戻すために、大慌てでアマテラス『天岩戸』から出そうと『天野安川』(あまのやすかわ)というところに集まって計画を始めます。

イメージのしにくい方のためにもう少し分かりやすい表現をすると『アマテラス引きこもり脱出プロジェクト』を開始したわけです。こんな言い方をするとクスッと笑えるかもしれませんが、神々はかなり真剣です。

プロジェクトの指揮を執ったのは『思金神』(おもいかねのかみ)という知恵の神様でした。『思金神おもいかねのかみ』を中心にして神々は意見を出し合い、準備を始めることになります。

『天岩戸』とは、踊って終わりではなかった?

『天岩戸』の話を絵本などで少しでも聞いたことのある方は、話の全体像を知っているため「どうせ最後は踊って終わるんだろ?」と思われているかもしれません。

確かに、オチを先に言ってしまうと『天岩戸』では最後に天宇受賣命(あめのうずめのみこと)という芸能の神様が踊り、それにつられてアマテラスは洞窟から出てきて終わります。

これだけだと、知恵の神様まで出てきているのになんとも簡単な話のように聞こえます。しかし、人間でさえ引きこもりを出すのは至難の業です。まして神様を相手にするとなれば、ちょっと踊ったくらいで解決すると本当に思いますか?

『アマテラスが外に出る』という結果に至るまで、実は色々な儀式が行われています。

まず闇夜に鳴くという『常世長鳴鳥』(とこよのながなきとり)という鳥を集めて一斉に鳴かせました。常世長鳴鳥とこよのながなきとりとは、ようするににわとりの事です。

次に天野安川あまのやすかわの上流からとってきたや鉱山から取り寄せた鉄の石を、鍛冶師である『天津麻羅』(あまつまら)伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)という鏡造りの神様に『八咫鏡』(やたのかがみ)と後に呼ばれる立派な鏡を作らせました。

そして玉祖命(たまのおやのみこと)という玉造りの神様に玉飾りを作らせました。それは大変神聖なもので『五百津之美須麻流之珠』(やさかにのまがたまのいほつのみすまるのたま)もしくは『八尺瓊勾玉』(やさかにのまがたま)と呼ばれるようになります。

まだ準備は続きます。『思金神』は『天児屋命』(あめのこやねのみこと)『布刀玉命』(ふとだまのみこと)という神様に『天香具山』(あまのかぐやま)に住んでいる牡鹿の骨を桜の木で焼いて占いをさせました。

それから天香具山あまのかぐやまにあったさかきの木を根ごと掘り起こし持ってきて、その木の上の枝に八尺瓊勾玉やさかにのまがたまを取り付けます。

中ほどにある枝に八咫鏡やたのかがみをかけ、下の枝に白と青の『和幣』(にきて)という布をかけると、そのさかきの木布刀玉命ふとだまのみことが両手に持ち、『天岩戸』の前まで持っていきました。

そして、『天児屋命あめのこやねのみことアマテラスの出現のために祝詞のりとを唱え、洞窟のすぐ脇に『天之手力男神』(あめのたぢからおのかみ)という神様が身を潜めたところで、ようやく準備が完了しました。

アマテラスは笑い声につられて出てきた?

正直、鶏を集めて鳴かせている時点で儀式の効果に関して、首を傾げたくなった方もいるかもしれません。ただ、アマテラスを洞窟から出すために、神々はこれだけ大変な準備を事前にしていたのだと思っておいてください。

そして、ここからみなさんも聞いたことのある『天宇受賣命あめのうずめのみこと』という神様の踊る場面となります。

まず『天宇受賣命あめのうずめのみこと』は、『天岩戸』の前に置いたの上にあがると、そこでを踊り始めました。

ただし、このというのは私達の想像しているような穏やかなものではありません。そのというのはメチャクチャ激しいもので、桶の上なので大きな音を響かせながら、踊り子は一種のトランス状態のように乳房をさらけ出すほどに踊り狂ったそうです。

そのの可笑しさに、それを見ていた周囲にいた神々は爆笑してしまったほどです。

笑い声を聞いたアマテラス「え? 私が引きこもったせいで世界は真っ暗になって静かなはずなのに、何で外はこんなに騒がしいの?」と不思議に思い、『天岩戸』から顔を覗かせました。

アマテラスの存在に気付いた『天宇受賣命あめのうずめのみこと』はすかさず「貴方様よりも貴い神様が現れたので、みな喜んでいるのです」アマテラスを煽るような発言をしました。

その言葉に反応してアマテラスが外を見ようとしたところで、そこに八咫鏡やたのかがみを差し出します。鏡に映る自分の姿を見て驚き、もっとよく見ようと『天岩戸』から出てきた瞬間、脇に潜んでいた『天之手力男神あめのたぢからおのかみによってアマテラスは引っ張り出されます。

そして布刀玉命ふとだまのみことがすぐに『天岩戸』の入り口を注連縄しめなわで塞いでしまい、なんとかアマテラスを洞窟から出させることに成功したわけです。

さいご

今回は、『天岩戸あまのいわと』にアマテラスが隠れた後の話を紹介しました。

まとめると、

  • アマテラスが洞窟に隠れたことで、世界から太陽が消えた
  • 天岩戸は、ただ踊って終わりではなく、その前に神々の大変な準備があった

最後までお読み頂きありがとうございました。

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