こんにちは! 物書きの忍者です!
今回は、百田尚樹さんの作品『カエルの楽園』を紹介します。
みなさんは、『楽園』と聞いて何を連想しますか?
- 天国
- 苦しみのない場所
- 現実には存在しない理想郷
などなど、とりあえず幸せになれる場所をイメージする方が多いと思います。
この作品は『楽園』というタイトルから、楽しそうなファンタジーを想像されている方に言っておきます。
この作品、内容がメチャクチャ怖いです!
この作品には童話のような挿絵もあり、子供向けに見えますが、後半になるほど怖くなります。
別に心霊現象や幽霊などオカルトに関わることが書いてあるわけでもありませんし、恐ろしい殺人鬼が登場するわけでもありません。
では何が怖いのでしょうか?
それは、私がこの作品をみなさんにオススメする理由でもあるのですが、この作品が非常によくできた風刺小説だからです!
風刺小説とはどの部分を指しているのか。それは、この作品を読んでもらえればすぐにわかると思います。すぐにわかってしまうほどリアルに描かれているからこそ、怖いのです。
もっと具体的に言うと、この作品は世界の社会情勢をカエルの童話という形でリアルに表現しているのです。
とりあえず、簡単なあらすじから説明します。
平和で豊かな国?
凶悪なダルマガエルの襲来により、地獄と化した故郷の国を出たアマガエルのソクラテスは、仲間の犠牲もあった厳しい旅路の果てに、生き残った友達のロベルトは崖の頂上にある平和で豊かなツチガエルの国ナパージュに辿り着きます。
新天地を見つけたと喜ぶ二匹でしたが、ナパージュに住むツチガエル達は奇妙な考えを持っており、『三戒』という戒律や『謝りソング』という変わった歌によって自分達が守られていると信じています。
三戒に疑問を持ったソクラテスはナパージュの住民達に話を聞いていると、ある時、南の崖下にある沼に住んでいるウシガエル達がナパージュに迫ってきます。
そこから、一見カエルの楽園のようにみえるナパージュの姿が浮き彫りになっていきます。
この作品をオススメするポイントは主に二つです。
- 寒気を感じる程の風刺
- あたりまえに対する疑問
寒気を感じる程の風刺
まず大前提として、この作品は風刺小説です。それを踏まえてこの作品を読み進めていくと、漢字にフリガナが振ってあり読みやすいのですが、このカエルの楽園がとある国と重なり怖くなります。
何より怖いのが、その国と作品に書かれている出来事が現実で起きている流れとリアルに重なって見えてくるところです。
童話のように和やかな空気だからこそ、読み進めていくと余計に怖くなります。
あたりまえに対する疑問
そして、この作品では『三戒』という戒律をツチガエル達は守っているのですが、作品の中でこのカエル達自身がこの戒律の経緯を全く知らないのです。にもかかわらず、三戒を守ることで自分達の国が平和でいられると信じているのです。
みなさんは「こんなの常識だろ?」とか「みんな普通にしてるじゃん」と思ったり、口にしたりした経験はありませんか?
先のとある国とカエルの楽園が重なる事が、この作品を読んでいる私達に漠然としたものを信じることに対する危機感を持たせてくれます。
さいご
今回は、百田尚樹さんの作品『カエルの楽園』を紹介しました。
正直、この作品は途中から目を逸らしたくなる内容が度々出てきます。ですが、それを現実として受け止め、危機感を持つためにも必要な部分だと思っています。
ですので、この作品は若い方にこそ読んでほしい作品でもあります。
ここまで読んで興味を持って頂けたならぜひ読んでみてください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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