価値観は人それぞれという考え方【価値観は違うと叫ぶのは、争いを避けるため?】

哲学

こんにちは! 物書きの忍者です!

今回は、価値観は人それぞれという考え方について考えてみたいと思います。

みなさんは、相手と持っている解釈の違いを気にしたことはありますか?

自分にとって当たり前だと思っていた習慣や事実が、相手にはまったく通じず理解してもらえないという場面は意外とあるはずです。おそらく、こういった瞬間に私達は『価値観の違い』というものを明確に意識すると思います。

ところで、この価値観は人それぞれ違う』みたいな考え方はいつ頃から言われているのでしょうか?

ここでは、価値観は人それぞれという考え方はいつ生まれたのか、そしてどう変化してきたのかを紹介していきます。

価値観は人それぞれという考え方

そもそも価値観は人それぞれ違う』という考え方が最初に出てきたのは、紀元前850年頃という遠い昔にギリシアの哲学者プロタゴラスの提唱した『相対主義』というものでした。

『相対主義』とは、ざっくり言ってしまうと「絶対的な真理なんてない! 価値観は人それぞれだ!」みたいな考え方を表した言葉です。

なぜ、こんな考え方が大昔に生まれたのでしょうか?

その理由を簡単に説明すると、村という小さな集団として点在して暮らしていた人々が、農耕をきっかけにして集まり『都市国家』という集合体になったことがきっかけでした。

どういうことか詳しく説明する前に、少し質問をさせてください。昔話神話はどうして生まれたのか考えたことはありますか?

神話の多くは、昔の人が理解することのできない現象を目の当たりにした際に、その理由づけとして神様や目に見えない何者かによる仕業だと考えたために生まれました。そして、そうした話を村という小さな集団の中で語り継がれることで後世に伝わっていったものです。

実は、農耕の発展によって、今迄に関わることのなかった大勢の人々が『都市国家』という一つの場所に集まり出した時、この神話に関してある問題が起きました。

それは神話の食い違いです。

元々村という小さな集団だった人々が集まってできたのが『都市国家』です。その為、個別に村として存在していた際に伝わっていた神話の内容に関して、他の村とは明らかな違いが出てきたのです。

ようするに、「雷は神様がお怒りになった際に起きるんだ」という人の横で「何言ってんだお前? 雷は精霊様が起こしてんだぞ?」みたいなことを言い始める人が出てきたわけです。

この事態をきっかけにして、価値観は人それぞれ違う』という『相対主義』の考え方が生まれたのです。

価値観は違うと叫ぶのは、争いを避けるため?

前回、哲学者ジャック・デリダ『脱構築』という考え方について紹介しました。

この『脱構築』という考え方を知った人の中には「あれ? これ、ようするに価値観は人それぞれって言いたいんじゃないの?」と思われた方がいるかもしれません。

実はその通りで、『脱構築』というのは極端な言い方をしますと『価値観は人それぞれ』だと主張している考え方なのです。

「おい! 長い時間かけといて、また元に戻ってんじゃねぇか!」と思われたかもしれません。確かに、大昔から『絶対的な真理』を求めて天才たちが幾度もの批判や議論を重ねていった結果、最終的な結論として「そんなものはなかった……」とでも言っているようでいまいち納得が出来ません。

しかし、今になって『価値観は人それぞれ』という考えが叫ばれるようになったのには色々な理由が存在しています。

その大きな理由の一つは、争いの規模の発展にあります。

どういうことか説明しますと、そもそも『絶対的な真理』を求めるという今迄の哲学の考え方は『生み出された新しい真理』と『それを否定する真理』を長い時間をかけて戦わせ続け、研磨していくことで見つけようとするものでした。

ようするに、昔の少年マンガなんかで見たことのある、主人公とライバルが河川敷で殴り合って最後に和解するような流れを哲学でも取っていたのです。

ここで考えてみてほしいんですけど、『絶対的な真理』を求めるためには争う必要があるわけです。それが現代で起きた場合どうなるでしょうか?

  • 核ミサイル
  • 細菌兵器
  • 戦闘機

ある意味、お互いに正しいと思っている主張を通そうとしているわけですから、最悪の場合、戦争になってしまいます。しかも、そうした争いに関しては恐ろしい兵器も揃っているため、些細なきっかけであったとしても、とんでもない被害が出ることは想像できるはずです。

現代で、単純な殴り合いだけで議論を完結させることは難しいと感じたために、今になって『価値観は人それぞれ』という考えが叫ばれているのです。

さいご

今回は、価値観は人それぞれという考え方について考えてみました。

まとめると、

  • そもそも『価値観は人それぞれ違う』という考え方が最初に出てきたのは、紀元前850年頃という遠い昔にギリシアの哲学者プロタゴラスの提唱した『相対主義』というもの
  • 現代において、単純な殴り合いだけで議論を完結させることは難しいと感じたために『価値観は人それぞれ』という考えが叫ばれている

最後までお読み頂きありがとうございました。

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