こんにちは! 物書きの忍者です!
今回は、日本最古の歴史書『古事記』で描かれているアマテラスの登場するまでの話について紹介していきます。
みなさんは『天照大御神』という名前を聞いたことはありますか?
有名な神様ですが「誰それ?」と首を傾げる人もいると思います。簡単に説明しますと日本神話に出てくる神様の中でもトップクラスに偉い高天原を統べる神様の事です。
私達にとってもっと身近なものだと、パワースポットとして観光名所にもなっている『伊勢神宮』に祀られている神様が『天照大御神』です。
そんな物凄い神様がどのようにして生まれたのか、知らない人は意外と多い筈です。ここでは、前回の続きである『神生み』の後に何が起こったのか、そしてアマテラスという神様はどのようにして誕生したのかを紹介します。
きっかけは父が黄泉の国から逃げかえることから始まる?
大まかな話の流れを先に説明しますと、火の神カグツチを産んだ際にできた火傷が原因で亡くなり『黄泉の国』へと行ってしまったイザナミにどうしても会いたくなってしまったイザナギが自身も『黄泉の国』へ生きたまま向かうところから物語は始まります。
そこでようやく出会えた妻イザナミの変わり果てた姿を見て恐ろしくなったイザナギは『黄泉の国』から一目散に逃げだしました。
怒り狂って追いかけてくるイザナミと黄泉の国の軍勢を振り切ってなんとか逃げ延びたイザナギは、『黄泉の国』ですっかり穢れてしまった体を『禊』によって洗い清めようとします。
そうして『禊』を行った際に多くの神々が生まれ、その時に生まれた一柱が後に高天原を統べる神様アマテラスでした。
一気に説明しましたが「え? 何で死んだ後でも普通に会えてんの?」など疑問に感じる点は多々あると思います。なので、ここからもう少し詳しく説明していきます。
急に始まる黄泉の国編?
前回、『神生み』によって多くの神々を産んだイザナギとイザナミ。しかし、最後に『火之迦具土神』(ひのかぐつちのかみ)という火の神を産んだときにイザナミは火傷を負ってしまいます。
なんとか火傷の苦しみに耐えるイザナミ。その時に吐いたものなどからさらに神々が生まれました。しかし、徐々に病は重くなり結局イザナミは亡くなってしまいます。
結果的に妻を殺してしまった火の神に対して「お前のせいで妻は死んだんだ!」などと憤慨したイザナギは火の神の首をはねてしまいます。そのときに流れた血からも神々が生まれました。
「仮にも自分の子どもみたいな存在の首をはねるとかちょっと過激すぎない?」とか「なんか、イザナミが出産するって方法以外でもメッチャ神が生まれてない?」と不思議に思った方もいるかもしれませんが、そこはスルーしてください!
とにかく、愛する妻イザナミを亡くしてしまい悲しむイザナギは、ふと愛しい妻にまた会いたいという衝動に駆られます。
そして、イザナミにまた会おうと考えたイザナギは、死んだ者の集まる『黄泉国』(よみのくに)という地下にある暗黒の世界へ向かいました。
固く閉ざされた『黄泉国』の入り口まで来たイザナギは、扉の前でしばらくの間また悲しみに暮れます。その時、『黄泉国』まで夫が来てくれている事に気付いたイザナミが扉の近くまで来たことで、二柱の夫婦神はお互いに姿の見えない扉越しですが再会を果たしました。
『黄泉国』の物を食べてしまったからもう会うことはできないと言うイザナミに対して「私にはお前が必要なんだ!」と説得をするイザナギ。
自分もまた夫に会いたいと考えたイザナミは、どうにかできないかと黄泉の国に住む神々に相談してくるとイザナギに告げます。その時「ただし、相談をしている間、決して中を覗いてはいけませんよ」ともイザナミに言われました。
そうして黄泉の国の神々に相談にいったイザナミを、イザナギは扉の前で待つことになりました。
古事記でさえ適用される、日本昔話のお約束
「決して中を覗くな」と相手に言い含めるイザナミ。最初この場面を知った時にちょっと個人的な話ですが『鶴の恩返し』という有名な昔話を思い出したりしました(汗)
みなさんも何かしら日本の昔話を連想したかもしれません。
まあ、そんな想像の通りで、待ちきれなくなったイザナギはイザナミとの約束を破って扉の先にある黄泉の国に入ってしまいます。
そうして黄泉の国を進んでいったイザナギは、腐敗して蛆のたかるという変わり果てた姿のイザナミを目撃してしまいました。
「死ぬとはこんなにも恐ろしい事だったのか……」となんとも今更な発言を口にしながら、変わってしまった妻の姿を前に、イザナギはビビッて逃げ出してしまいます。
絶対に覗くなという約束を破り、しかも自分の姿を見て逃げ出す夫を見てブチ切れるイザナミ。これに少なからず共感する方はいるかもしれません。そんな情けない夫を捕まえようと、イザナミは『黄泉醜女』(よもつしこめ)という恐ろしい鬼女や黄泉の国の軍勢を差し向けて追いかけ始めます。
黄泉の国の者に捕まれば生者であっても二度と地上に戻ってくることはできません。必死で逃げるイザナミは途中で追いつかれそうになると、葡萄やタケノコを使って何とか足止めをしました。
なんとか黄泉の国とこの世の境にある『黄泉比良坂』(よもつひらさか)というところまで逃げてきたイザナギは、そこになっていた桃の木の実を手にとり投げつけてしまいます。すると、黄泉の国の軍勢は桃の実を嫌っているために逃げ帰ってしまいました。
「なんで桃にそんな力があるんだ?」と疑問に思うかもしれませんが、イザナミは何とか軍勢から逃げ延びることが出来ました。
女性はいつの時代でも恐ろしかった
こうして、黄泉の国からイザナギは無事に帰還してめでたしめでたし、とはなりません。なんと、妻であるイザナミだけが最後まで追いかけてきていました。
無我夢中で逃げるイザナギ。追ってくる妻から逃げるために『黄泉比良坂』の途中にある道を『千引岩』(ちびきいわ)という千人いないと動かせないような巨大な岩で塞いでしまいます。
『千引岩』を間に挟んで向かい合わせになったイザナギとイザナミ。そこでイザナギは妻に離縁を宣言しました。
それに反応して夫の勝手な言い草にムカついたイザナミは「あなたの国にいる人間を毎日1000人殺してやる!」と言い、それを聞いたイザナギは「お前がそんな酷い事をするのなら、俺は産屋を建てて毎日1500人産まれるようにする!」と反論しました。
この出来事によって、私達人間はいつもどこかで誰かが死にながらも人口が増えていくという状態になったそうです。正直、この時点でツッコみたいことは多々あると思いますが堪えてください(汗)
とりあえず、なんとか黄泉の国から帰ってきたイザナミは『筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原』(つくし の ひむか の たちばな の おど の あはきはら)というところでその身についた穢れを清めるために禊を行いました。
「おい、また長い名前出てきたけど『筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原』ってどこだよ?」と思われた方に説明すると、大体でいうと九州の宮崎にあたりにある場所です。現在の宮崎県に『阿波岐原町』というところが実在しています。
そこで禊を行ったイザナギ。その瞬間、また多くの神々が生まれました。「ホントなにしても神生まれてんな……」とツッコミは入れないでください。
この時に生まれた神々の中で、最後に現れた特別な三柱の神。
- 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
- 月読命(つくよみのみこと)
- 建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)
『三貴子』(さんきし)とも呼ばれるこの三柱の神様が生まれるところまでがイザナギとイザナミによる話の大まかな流れになります。
さいご
今回は、日本最古の歴史書『古事記』で描かれているアマテラスの登場するまでの話について紹介しました。
まとめると、
- きっかけは、火の神を産んで黄泉の国に行ったイザナミをイザナミが追いかけたこと
- 黄泉の国で変わり果てたイザナミの姿にビビッて逃げ、その後イザナギが体についた穢れを禊で払ったところでアマテラスは生まれた
「イザナギとイザナミって最初愛し合ってたんじゃないの?」とか色々と不可解な点はあると思います。なぜそうなったのか、理由を後から調べてみるのも面白いかもしれません。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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