舞台は廃業した雑貨店?【ナミヤ雑貨店の奇蹟】

書評

こんにちは! 物書きの忍者です!

今回は、2012年に出版された東野圭吾さんの作品『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を紹介します。

みなさんは悩み相談をしたことはありますか?

  • 卒業した後の進路について
  • 転職しようか悩んでいる
  • これからどうしたらいいのか、わからない

抱えている悩みの大きさや内容に関わらず、誰しも一度は不安になったことがあると思います。

この作品は、こういった悩み相談を受け取る側にスポットを当てた作品です。

今回この作品を紹介しようと思ったのは、現在、どうしようもない悩みを抱えている方に、違う視点から悩みと向き合うことで、新たな気付きを得られると考えたからです。

これから紹介する要点は主に三つです。

  • 舞台は廃業した雑貨店?
  • 時を超える悩み相談
  • 悩みとどう向き合うべきか

順に紹介していきます。

舞台は廃業した雑貨店?

物語は、廃業したはずの雑貨店に、ある悪事を働いた三人が逃げ込むところから始まります。

この作品は、ある悪事を働いて逃亡中の三人。

  • 敦也(あつや)
  • 翔太(しょうた)
  • 幸平(こうへい)

この翔太が依然見つけていたナミヤ雑貨店という廃屋に逃げ込むところから始まります。

彼らは夜が明けるまで廃屋の中に隠れていようと考え、使える物はないかとナミヤ雑貨店の中を物色します。

その時、閉まっている筈のシャッターの郵便口に手紙が投函されます。手紙の中には『月のウサギ』と名乗る人物からの悩み相談が書かれていました。

店の中を物色した際にみつけた雑誌の記事から、ナミヤ雑貨店で過去に悩み相談をしていたことを知った三人は、明らかに閉店していると思われる店に投函した謎の人物に、雑貨店の店主の代わりに返事を書こうとします。

  • そもそも、彼らが逃亡することになった悪事とは何なのか? 
  • 逃亡者であるはずの彼らが何を考え、どう行動するのか?

こういった謎解きを含んでいる部分が、この作品の見どころの一つであるので、ぜひ読んで体感してほしいです。

時を超える悩み相談

この作品は、営業していないはずの店に届く、過去から来たとしか思えない悩み相談に、三人が返事を書くことを中心にしています。

ナミヤ雑貨店に潜伏することにした三人は、牛乳箱に悩み相談の回答を入れ、すぐに郵便口に返事が届くという不思議な現象を体験し、手紙の内容を照らし合わせて『月のウサギ』という謎の人物が、自分達のいる時代よりも過去にいる人で、時空を超えて手紙が届いていることに気付きます。

タイムスリップを題材にした作品というのは多いです。しかし、時空を超えて悩み相談を受けるというのはちょっと珍しいと思います。

この作品を手にとって、はじめてこの設定に気付いた時は「未来が分かっているなら、確実に当たる予言みたいなものなんだから、相談なんて成立しないだろ」と私は考えていました。

しかし、読み進めていくと、『未来がわかる=悩みを解決できる』ということではないと気付かされます。

納得すると同時に、こうした話の組み立てをできる作家さんの凄さを改めて実感できました。

いつもとちょっと違うタイムスリップものを読みたい方にもオススメです。

悩みとどう向き合うべきか

登場人物たちは皆、色々な悩みを抱えています。それとどう向き合うのかを見てほしい。

大前提として、この作品は悩み相談というのを中心に描かれていますが、その悩みの解決法を紹介している作品ではありません。

奇蹟とか書いてるくせに詐欺じゃないか!」と思われるかもしれません。そもそも、この奇蹟とはどういう意味なのでしょうか?

奇蹟とは、神などといった超常的な存在が引き起こす不思議な現象を指す言葉です。

つまり、この作品では、過去から未来に悩み相談を送るといった部分が奇蹟と呼べるのだと思います。

そんな回りくどい事をしないで、神が直接悩みを解決したらいいじゃん」と考える方もいると思います。正直、私もちょっと思いました(汗)

しかし、そうしなかったからこそ、私はこの作品をみなさんにオススメします。

この作品の中には悩み相談をする人も含め、色々な悩みを抱えている人物が登場します。中には、みなさんの抱えている悩みに近いものを持った人物もいるかもしれません。

そんな彼らが、奇蹟などという超常的な現象に頼らず、どういう答えを出して行動するのかを見てほしいです。

多分、みなさんの抱えている悩みの解決策にはならないと思います。ただ、悩みとどう向き合うべきなのか、ちょっとした気付きを私達に与えてくれます。

どうすればいいか悩んで立ち止まっている方は、試しに読んでみませんか?

さいご

今回は、東野圭吾さんの作品『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を紹介しました。

この作品の要点をまとめると、

  • 舞台は廃業した雑貨店?
  • 時を超える悩み相談
  • 悩みとどう向き合うべきか

奇蹟というタイトルに惹かれて手に取った方には少し物足りなく感じるかもしれません。

しかし、とても読みやすい作品で、登場する悩みは特殊な部分もありますが、みなさんの共感できる身近な部分も含んでいます。

相談される側の視点から、その悩みに自分ならどう返事をするか考えてみるのもこの作品の楽しみ方の一つだと考えています。ぜひ、試してみてください。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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