こんにちは! 物書きの忍者です!
今回は、東野圭吾さんの作品『名探偵の掟』を紹介していきます。
みなさんは、本格ミステリに名探偵が必要だと思いますか?
推理小説が好きな私としては「何言ってんだお前?」と言いたくなるような疑問なのですが、この作品はある意味、その疑問に真正面からぶつかっていった作品です。
シャーロック・ホームズ。名探偵コナンなど。謎解きを主軸にした作品の多くには、非凡な才能を持った探偵役が必ずと言っていいほど出てきます。所謂、お約束というヤツです。
まぁ謎解きと言っても小説から始まり、サスペンスドラマや映画などさまざまな作品がありますが、探偵役がいて事件を解決するという形式の作品はみなさんも必ずどこかしらで見たことがあると思います。
ぶっちゃけ彼らは必要でしょうか?
お約束とかいります?
今まさに疑問に思われた方にオススメしたいのがこの作品で、私が今回この作品を紹介する理由が本格ミステリを新たな視点で見れるようになるからです。
この作品は、本格ミステリの中でテンプレートとされている題材を前面に取り上げて、推理小説でありながら皮肉を利かせたユーモア作品としても昇華させています。それがすごく面白い!
この作品の魅力は読者に二つの疑問を投げかけるところにあります。
- 推理に密室は必要なのか
- 本格ミステリってなに?
これから、この作品の魅力を紹介していきます。
推理に密室は必要なのか
事件に密室という要素は必要なのでしょうか?
ミステリの王道ともいえるトリックです。みなさんも『密室殺人』といった単語ぐらいは聞いたことがあるはずです。本格ミステリの中ではそれほど有名なお約束です。
この作品では、早々にこの王道の展開にメスを入れます。
誤解のないように読者のみなさんには先に言っておきます。
この作品の中では、まともな謎解きは一切しません!
密室トリックとか意味を成しません!
謎解きが全くないとか、探偵役が推理しないとかそういったわけではありません。ですが、この作品を普通の本格ミステリと同じだと思って手に取った方はその予想外の語り口に面食らうと思います。そこが面白い!
物語の始まりとして、この作品における探偵役、天下一大五郎は助手役である捜査一課の警部・大河原番三を引き連れて難事件に挑みます。
ある程度、本格ミステリに触れてきた方はこの出だしからクスッと笑えてしまうかもしれません。そして、とどめとばかりに読者に追い打ちを掛けてきます。
『これは完全な密室殺人事件です』
章のタイトルから『密室宣言』と題されて皮肉られた探偵役の発する宣言。ここまでくると、全ての読者が理解します。これは普通の本格ミステリではないと。この気持ちをぜひ体験してほしい!
本格ミステリってなに?
そもそも、本格ミステリとは何でしょうか?
この本の中では、推理という部分に重点をおいた作品のことだと考えます。
今更ですが、本格ミステリという分野に全く関心のない読者の方も多くいると思います。
本を読むこと自体が少なくなった今、『密室』だの『トリック』だの、聞きなれない言葉を並べてもあまり意味はないかもしれません。
そういった方にも、ぜひこの作品を読んでもらいたい。
なぜなら、この作品には多くの本格ミステリのお約束が詰まっています。
「本格ミステリってなに?」と思われた方や、そもそもミステリ自体に否定的な考えを持っておられる方にオススメします。その答えを本の中で登場人物たちが議論してくれます。
ここまで私は本格ミステリという単語を多用してきましたが、それはこの作品を書いた著者が本格推理という言葉を多用し、本格ミステリという単語を避けているように思ったからです。
このことは本の最後にある解説に書いてありました。著者から直接聞いた意見というわけではありませんが、私もこの作品を書いた著者は本来は推理という部分に重点を置いているんだと思いました。
ですから、この作品は著者が出している他の推理小説とはまた違った作品という意味で、ここでは本格ミステリと呼ばせてもらいます。
さいご
今回は東野圭吾さんの『名探偵の掟』を紹介しました。
この作品で見てほしい点をまとめると、
- 王道とはまったく違った謎解き
- ミステリのさわりを理解できる
もう一度言いますが名探偵の掟の中では、皆さんが想像しているようなまともな謎解きはありません!
そのうえで、ミステリとしてどうやって成立させるのかを見てほしいです!
興味を持って頂けたなら、ぜひ読んでみてください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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