こんにちは! 物書きの忍者です!
今回は、哲学者プラトンの『哲人王』について紹介します。
みなさんは、『哲人王』という言葉を聞いた事はありますか?
「何それ?」と首を傾げたくなった方がほとんどだと思います。
ここでは、そんな哲学者プラトンの『哲人王』という思想について紹介していきます。
哲人王思想とは?
まず前提として簡単な説明をすると、『哲人王』とは哲学者プラトンの考える理想の国家の形態を表した思想の事です。
もう少し具体的に言うと、プラトンはそれまでギリシアで一般的であった民主主義を否定し「国というのは優秀な哲学者こそが王として統べるべきだ!」と主張しました。その考え方を『哲人王』と表現したわけです。
なぜ民主主義を否定して、そんな独裁的な国家を求めたのか疑問に感じるかもしれません。その理由は、プラトンの師でもあった有名な哲学者ソクラテスに深い関わりがあります。
当時、口の上手い政治家たちが民衆を扇動していた古代ギリシアで、ソクラテスはその政治家たちに「それってどういう意味?」みたいな懐疑的な質問を投げかけ続けました。
そして答えに詰まる政治家を前にして「ほら! 私達は何も知らないんだから、一緒になって考えてみようよ!」と民衆に向かって語り掛けたわけです。いわゆる『無知の知』と呼ばれているものです。
弟子の一人でもあったプラトンも含め、多くの若者たちから支持されたソクラテスでしたが、論破された政治家の気持ちを考えたらわかるかもしれないんですけど、そうした権力者たちからソクラテスは疎まれてしまい、裁判に掛けられてしまいます。
そして最後には死罪と宣告され、ソクラテスは牢の中で毒薬を飲んで自殺してしまいました。
ようするに何が言いたいかというと、すべての民衆の声を反映すると謳っている民主主義の国家で、プラトンは尊敬していた師を失ってしまいます。それをきっかけに「民主主義とは本当に正しいのか?」という疑念をプラトンは抱いたわけです。
プラトンの考える国家
師を失ってしまった事をきっかけにして、プラトンが民主主義に対して疑問を持った事は何となくわかりました。しかし、それが「国というのは優秀な哲学者こそが王として統べるべきだ!」という考えとどうつながるのでしょうか?
ここでちょっと復習をさせてほしいんですけど、前回『イデア論』という哲学について紹介しました。ざっくりとした説明をしますと、私達が現実世界で何かを見たり体感したりしている時、それとは別の世界にイデアという『理想とする存在』があって、それを同時に認識しているという考え方でした。
もっとわかりやすく言うと、例えば私達は線を見た時に「これは厳密に言うと完璧な線じゃないよな」と言えるように、実際に見ることのできないはずの完璧な線を理解しているのは、別の世界に存在するその完璧な線を認識しているからだという考えです。
ここで注意してほしいのは、この『イデア論』でいうところの別世界にある『理想とする存在』というのは、なにも線や三角形という形状に縛られたモノではなくて、ぶっちゃけ『美のイデア』や『善のイデア』みたいな形のないモノでも適用されるのです。
そこでプラトンは、理想とする国家を築くためには『国のイデア』とでもいえるような国の基となる『理想とする存在』を追い求め続ける頭の良いリーダーが必要なのだと考えました。
それこそが「国というのは優秀な哲学者こそが王として統べるべきだ!」という考え方であり、プラトンの唱える『哲人王』という思想なわけです。
つまり、自分の尊敬するソクラテスという師を死に追いやった民主主義という考えを否定し、そんな状況をつくり出す民衆をコントロールして『理想とする国家』を目指せる優秀な哲学者のような王による政治こそ必要なのだとプラトンは考えたのです。
さいご
今回は、哲学者プラトンの『哲人王』について紹介しました。
まとめると、
- 『哲人王』とは哲学者プラトンの考える理想の国家の形態を表した思想のこと
- 『民主主義』というそれまでの考えを否定し、民衆をコントロールして『理想とする国家』を目指せる優秀な哲学者のような王による政治こそ必要だとする考え方
最後までお読み頂きありがとうございました。
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